双子2組のお父ちゃんが語る☆声門下狭窄症と気管切開について

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声門下狭窄症って知っていますか?
聞きなれない人が多いかもしれません。

声門ってどこ?
という方も少なくないでしょう。

声門の場所を説明するために、人間の喉の構造が分かる画像です。

のどは上の図のように、
2つの道に分かれています。

食べ物が通る食道と
空気が通る気道です。

声帯は気道の入り口にあり、
声を出す時に開きます。
その開いた時の隙間を声門と言うのです。

声門下狭窄症とは、どのような症状か?

声門下狭窄症とは、
声帯の下にある気道が何らかの理由で
狭くなっている病気です。

先天性のものと後天性のものがありますが、
ハッキリとした原因は分からないようです。

うちの子の場合は、小さく生まれたために
生後すぐに酸素の管を入れていました。
その管に対して気道の粘膜が異物に反応し、
腫れたのが原因ではないかとの説明でした。

上の双子は一卵性なので、体質が同じで、
どちらも声門下狭窄症でした。

NICU(新生児集中治療室)でも、
少しづつ体は育っていきましたが
呼吸が安定しないため、酸素の管を取るのに
時間がかかりました。

姉の方は、看護師さんが見ていない隙に
自分で管を抜いてしまっていたようで、
大騒ぎでしたが、その後の経過がよさそうで
そのまま管が取れてしまいました。

これも、そのままいけたから良かったものの
もしもの場合には、大変なことだったと、
いまさらながらゾッとします。

妹の方は、NICUに9ヶ月入院しましたが
それでも呼吸が安定せず、
酸素を付けたままの退院となりました。

酸素を流す機会が貸し出され、
その機会から管が伸びるところまでが
行動範囲です。

寝る時には酸素の管を鼻につけて、
パルスオキシメーターで酸素濃度を測り、
夜中に「ピピッ、ピピッ」と鳴ると、
酸素の管が鼻からずれていたりする。
そんな夜が続きました。

酸素の数値が上がらない時には、
酸素濃度を少し上げてみたり。
救急で病院に駆け込んだことも
1度や2度ではありませんでした。

成長とともに少しづつでしたが、
呼吸も安定し、日中は酸素を付けなくても
よくなりました。
妹が最終的に、酸素が取れたのは
1歳8ヶ月ごろでした。

声門下狭窄症を持っている子は
ちょっと動くだけで苦しくなったり、
息をする時に「ひー、ひー」と音がします。
息をするのも、普通の何倍も大変だと
医師が言っておりました。

特に風邪をひくと、ただでさえ狭い気道が
さらに狭くなるため、とても苦しく
クループと言われる、息が詰まるような
症状が出たりもします。
なので、風邪は引かさないように
特に気を付けました。

2歳の誕生日を迎える頃のある時、
夜中に妹の方が何度も起きるのです。
どうしたのかなと思っていた数度目の時
「ぜー、ぜー」苦しそうな息をしています。
泣くと呼吸が苦しくなるので、
抱っこしながらあやしていると
「うっ」と息が止まったのです。
そして、みるみる顔が紫色に

すぐさま、人工呼吸をしながら妻に
「救急車を呼んで」と促しました。
何度目か息を入れた時、
「ふーっ」と息を吹き返したのです。

その後、救急隊員が到着し病院へ。
なんとか事なきを得ることが出来ました。
さすがにこの時はダメかと思いました。
そして声門下狭窄症とは、こういう事と
常に隣りあわせだと自覚したのです。

上の双子は、3歳の時も、4歳になっても、
風邪気味になると苦しそうになり、
入院もたびたびしました。
その時は、下の双子もいたので、
決まって、お父ちゃんとです。
今となっては、良い思い出です(^ ^)

声門下狭窄症の検査と治療、気管切開について悩む。

声門下狭窄症の検査は、
喉頭ファイバーを使ってします。
細い光ファイバーを鼻から通して、
喉の奥まで入れていくのです。
そして、先端のカメラで写真を撮り、
声門の様子を診断します。

これは大人でも苦しいでしょう。
それを2歳や3歳の子供がするのですから、
泣きながら暴れるのを、看護師さんと私が
押さえつけての検査です。
なので子供たちは、
耳鼻科に行くのを一番嫌がりました(笑)

検査の後にいつも言われるのは、
「かなり気道が狭いね。
 気管切開した方がいいですよ」
というものでした。

気管切開とは、
喉ぼとけと鎖骨の間を切開し、
カニューレという管を入れて
直接、酸素を送り込めるようにするのです。

声門下狭窄症を持っていれば、多くは
まずは気管切開をして気道を確保してから
成長に応じて、次の段階へと移るのです。

呼吸が止まるのを目の当たりにしていたので
命のためには、やむをえないのかな?
と考えもしました。

しかし、今は何とか頑張れているのに、
という思いや、
気管切開した後のリスク。
特に管が抜けてしまったりという危険が
とても心配でした。

毎月、耳鼻科に行くたびに
大泣きをする娘たち、そして
「やっぱり狭いね。気管切開した方が良い」
と医師から言われる。
どれだけ妻と話したか分かりません。

決めかねながら、日を過ごしている時。
小児科の担当医から、
「声門下狭窄症の専門医が東京から来る
 他の子を見に来るのだけど、
 あなたの所も見てもらったらどうかな」
という連絡をもらいました。

それは願ってもいないこと!
ぜひともとお願いしました。

当日は、予定の子が来れなくなって
うちの子だけを見てもらうことになりました
簡単な麻酔をして眠らせてから
細いファイバーで奥まで見るのです。

診てもらうと
「確かに狭いけど、良い方向に向かっている
 成長とともに、広くなりそうです
 様子を見ていきましょう」
との診断でした。

私たちは、大きな希望を与えられ、
頑張ってきて良かったと思えた瞬間でした。

それから、私たちがしてきたことは、
☆とにかく風邪をひかさないようにすること
☆パルスオキシメーターで酸素の濃度を
 毎日、測っていました。
☆少ししんどそうな時は、ネブライザーで
 薬を吸入していました。 
☆そして、少し大げさと言われても、
 早めに、病院に受診しました。
 (夜にしんどくなることが多いので、
  救急にはよく行きました)

※パルスオキシメーター
 (酸素の血中濃度を測る機械)
 ネブライザー
 (液薬を霧状に出す機械)
 どちらも購入する時に、病状を申請すると
 地方自治体の補助がありました。

※ネブライザーに入れる液薬は、
 医師に相談すると、処方してくれます。

声門下狭窄症の治療には、
保存的治療と手術的治療があります。

  • 保存的治療は、
    成長を待つ間、ステロイドなどの抗生物質
    で乗り越える方法です。
  • 手術的治療は、
    レーザーメスなど邪魔する部分を切除したり、
    軟骨を使って気道を拡げる手術を行います。
    しかし、何度も手術しないとダメだったりと
    マイナス面もあります。

声門下狭窄症とは、長い付き合い。

上の双子も、現在は4年生になりました。
かすれていた声も少しは良くなりました。
高い声も、少し出るようになっています。

小学校に入る頃には、「ひー、ひー」と
呼吸をすることも無くなりました。
吸入をすることも、ほぼ無くなりました。

しかし、走ったり激しい運動をすると
「少し苦しい」と言います。
風邪も引かせないようにしています。

おどろいたのは、
幼稚園の頃に歯医者に行くと、
「声門下狭窄症を持っている子は
 普通の歯医者ではダメなんです」
と言われたことです。

治療中に息が苦しくなった時、
対処できる歯医者に行かなければならない。

そして、その歯医者に行くと
「声門下狭窄症の子は、虫歯にならないよう
 親が気を付けなければならないんですよ」
と言われました。
それ程、リスクが伴うということなのです。

成長とともに、少しづつ良くならせてもらい
喜びと感謝を持ちながらも、
油断をして気を抜いてはならない、
これからも長い付き合いなんだと、
それが声門下狭窄症だと感じています。

このブログが、
小さく生まれた子供を持つ親御さんや、
声門下狭窄症の子供を持つ親御さんの
勇気や元気の一助になれば嬉しく思います。

私達も、現在進行形で頑張ています(^ ^)

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2 件のコメント

  • はじめまして。
    声門下狭窄と診断された1歳の息子をもつ母です。
    声門下狭窄でこちらにたどり着きました。
    我が家の息子も娘さんと同じく、気管切開はしていません。
    声門下狭窄は気管切開している子が多く、気管切開なしの子は少ない気がして、コメントさせていただいております。
    生まれてすぐに一過性過呼吸と診断され、保育器に入っていましたが、1週間で退院し、呼吸器はつけずに過ごしましたが風邪をひき、声門下狭窄が見つかりました。
    風邪を引いたら呼吸困難になり、最悪死んでしまうと言われ、でも気管切開は出来るなら避けたいと思ってしまいます。
    娘さん方は何の運動制限もなく、お過ごしでしょうか。
    この子は一体この先どうなるんだろうと不安で仕方がありません。
    夜間のみ酸素マスクをつけて、圧を加えて声門下を広げる治療をしていますが、酸素マスクを拒否するようになり、何も治療ができていません。
    先日主治医に、それでは治りませんよ、と言われ…
    成長するにつれて少しずつ広がるんじゃなかったの??と頭をガーンと殴られたようなショックを受けてしまいました。
    お時間ある時にお返事頂けたら嬉しいです。

    • 最近、ブログから離れていてコメントに気が付くことができませんでした。
      返信が遅くなってすいませんでした。
      息子さんが声門下狭窄なのは心配ですね。とても気持ちがわかります。
      うちの娘たちは今月で10歳になります。二人とも元気に過ごしています。
      しかし未だに風邪をひくと息が苦しくなると言います。
      また、学校から走って帰ってきたりすると、大きく肩で息をしているので苦しいんだなと感じます。
      少しづつは良くなっていると思いますが、長く付き合っていくものなんだなと感じています。
      小さなころは風邪をひかしてはいけないと医師から言われていました、しかし子供ですから風邪もひきます。そんな時は、少し苦しそうだったら救急に駆け込むようにしました。症状が重い時には入院もしました。双子で両方ともだったので、5回づつは入院したように思います。
      風邪をひいた時に、実際に下の子は自宅で息が止まってしまい人工呼吸をしながら救急車を呼んで一命をとりとめたこともあります。早め早めに病院に行くのがいいと思います。
      虫歯になって歯医者に行くと、「声門下狭窄を持っている子は普通の歯医者では治療できないので、大きな病院の口腔外科で治療してください」と言われたこともありました。そこでは「声門下狭窄の子は虫歯にしちゃダメだよ」と言われてしまいました。初めて聞いたので大変驚いたことを覚えています。

      暗い気持ちにさせてしまったかもしれませんが、この病気と付き合っていくのは簡単ではないと感じています。
      しかし今日の娘たちの姿が明るい情報になると思います。
      小学校に入る前にもCTやファイバーで検査をしてもさほど声門は広がっていませんでしたが、小さなころにかすれた声しか出なかった娘たちは今はだいぶ普通の声に近づいているし、大きな声も出るようになっています。
      風邪をひいても病院に行くまでの症状にはなっていません。
      私たち夫婦も、これまでを見てきているので経験から病院に行かなければならないかどうかの判断がつきやすくなっています。
      家にはネブライザーやパルスオキシメーターもあるのでちょっとした処置はもできる環境です。
      私たちも一年ごとに良くなるくらいに考えていましたが、今ふり返って考えるとかなり長いスパンではありましたが良くなっていることに大きな喜びを感じています。

      今は不安で、寝ている時もアラームが鳴ったりと熟睡ができな日が続いていると思います。辛いこともあるかと思いますが、今の状態と向き合い対処していくようにしていけば、気が付いたら良くなっているねと喜べる日が来ると思いますよ。
      夫婦で助け合って頑張ってくださいね。
      そして、休める時は身体を休めるようにしてくださいね。眠れないと気持ちがどんどん後ろ向きになりますから。

      これからも何かありましたら遠慮なくお尋ねくださいね。
      Twitterでしたらすぐにコメントに気づくことができると思います。

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